BCAAは
摂りすぎたらどうなる?
BCAAは摂りすぎたらどうなる?
1日の摂取量と気になる効果
トレーニングだけでなく日常生活にも大きなメリットがあるBCAAですが、1日にどのくらい飲めば良いのか摂取量や飲むタイミングが気になる方も多いでしょう。この記事ではBCAAの摂取量の上限や、飲み過ぎると副作用があるのかを解説します。
BCAAを摂りすぎたらどうなる?
必須アミノ酸の一種であるバリン、ロイシン、イソロイシンの総称であるBCAAは、筋肉の分解を防ぎ、筋肉のエネルギー源になると言われている栄養素です。しかしうれしい効果が期待できるとはいえ、摂りすぎによる副作用が気になる方もいると思います。BCAAの摂りすぎによる副作用はあるのか、詳しく解説します。
BCAAの過剰摂取による副作用は報告されていない
現時点でBCAAの過剰摂取による副作用は確認されていません。というのも、BCAAはタンパク質を合成する成分であり、日常的に口にする食品のなかに含まれる一般的な栄養素です。そのため、サプリメントやプロテインでBCAAを摂りすぎても副作用が起こる可能性が低いといえます。BCAAの大部分は筋肉で代謝されるため、内臓への負担が少ないという特徴があります。しかし長期間に渡って過剰に摂取しすぎると、肝臓や腎臓に負担をかけてしまう可能性があるので、過剰摂取はおすすめできません。
過剰摂取するとお腹がゴロゴロする可能性もある
BCAAは消化する必要がないため、吸収スピードが早く、直接小腸に送られると言われています。そのため、BCAAを一気に過剰摂取すると小腸のアミノ酸濃度が高くなり、お腹がゴロゴロする可能性があります。パウダー状のBCAAを冷たい水で割って飲む場合、さらにお腹がゆるくなるリスクが高まるので、飲みすぎには注意しましょう。
BCAAにこだわりすぎるとほかのアミノ酸が不足する可能性も
必須アミノ酸(Essential Amino Acids)は略してEAAと呼ばれ、このEAAの一部にBCAAがあります。BCAAは人間が生きていくために欠かせない栄養素ですが、BCAAだけを摂取しているとほかのアミノ酸が不足する可能性があるので注意しましょう。タンパク質を合成しているアミノ酸は全部で20種類あり、9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸から構成されています。
良質な筋肉を作るためには、アミノ酸のバランスを数値化して評価するアミノ酸スコアが高い食品を積極的に摂取することが重要であると言われています。すべてのアミノ酸をバランス良く摂取できるよう、BCAA以外のアミノ酸も意識的に摂取するのがおすすめです。
BCAAの1日の目安摂取量はどのくらい?

必須アミノ酸であるBCAAは体内で十分な量を合成できないため、食品やサプリメントで積極的に摂取する必要があります。BCAAは1日に8〜16gの範囲で摂取するのが良いとされているため、BCAAを多く含む食品を食事のメニューに取り入れてみてください。BCAAが多いと言われる食品のBCAA含有量の目安は次のとおりです。
食品名 | BCAA(g) |
---|---|
まぐろ赤身(刺身約8切れ) | 4.8 |
カツオ(100g) | 4.3 |
アジ(中1匹) | 3.8 |
サンマ(中1匹) | 3.7 |
鶏むね肉(100g) | 4.3 |
鶏もも肉(100g) | 3.3 |
牛肉サーロイン(100g) | 2.4 |
卵(1個/50g) | 2.6 |
凍り豆腐(1枚/16g) | 1.6 |
納豆(1パック/50g) | 1.3 |
木綿豆腐(1/4丁) | 1.2 |
牛乳(コップ1杯/200mL) | 1.4 |
チーズ(小1個/20g) | 1.0 |
出典:(独)環境再生保全機構 呼吸リハビリテーションマニュアル⑥ 栄養療法
気になるBCAAの効果とは

BCAAは必須アミノ酸のなかでも筋肉づくりに役立つと言われています。では具体的にどんな効果が期待できるのか、詳しく紹介します。
タンパク質の分解を防いでくれる
BCAAは運動中にブドウ糖や脂肪酸、血液中のエネルギーとして利用されます。エネルギーが不足すると、体は筋肉のタンパク質を分解してエネルギーを作ろうとします。そのため、BCAAを摂取しておくと筋肉のタンパク質分解を防げるでしょう。
エネルギーは運動時のみ消費されていると思うかもしれませんが、基礎代謝といって人の体は何もしなくてもエネルギーを消費しています。時間がなくて食事を抜いたり、ダイエットのために肉や魚などの脂質を減らしたりするとBCAAが不足して筋肉を分解してしまう可能性があるため、運動の有無に関わらず意識的にBCAAを摂取するのがおすすめです。
疲労を軽減してくれる
BCAAを運動前に摂取すると、筋肉痛などの疲労を軽減させる効果があると言われています。また、アミノ酸は神経の伝達に大きな役割を果たしていると言われており、BCAAの摂取によって脳の疲労軽減やメンタルを安定させる効果も期待できるでしょう。
運動による代謝アップが期待できる
運動中の円滑なBCAA代謝は、持久力のように運動のパフォーマンスを発揮するために重要だと考えられています。そのため、運動直前にBCAAを摂取することで運動時の代謝アップに役立つでしょう。またBCAAの一種であるロイシンは運動後の筋タンパク質の合成スピードを早めるという検証データもあります。筋肉量が増えると何もしなくても消費されるエネルギーである基礎代謝も高くなります。そのため、BCAAを摂取して運動することで代謝アップにつながると言えるでしょう。
BCAAは運動や筋トレをしない日でも飲んで良い?
BCAAは運動や筋トレをしない日に飲んでも問題ありません。人間は基礎代謝にくわえて家事や通勤、仕事といった日常のさまざまな行動で、気づかないうちにアミノ酸が使われています。そのため、日常生活によってBCAAが不足すると筋肉が分解されてしまったり、疲労が回復しづらかったりなど、何かしらの影響を及ぼす可能性もゼロではありません。もちろん過剰摂取はおすすめできませんが、パウダータイプやドリンクタイプのBCAAを持ち歩いてこまめに補給すると、1日を乗り切るためのエネルギー源となってくれるでしょう。
BCAAを効率良く摂取する方法
食事をする時間が不規則だったり、食事を抜いたりする習慣がある方は、体がエネルギー不足になって筋肉の分解や疲労増加につながりかねません。BCAAが不足しないよう、食生活ではBCAAが豊富な動物性タンパク質(肉、魚、牛乳など)を積極的に摂取するのがおすすめです。
また、タンパク質にはアミノ酸のバランスを評価して数値化したアミノ酸スコアという基準が存在します。アミノ酸スコアが100の食品(卵、マグロ、大豆など)はBCAAが一定以上含まれているので、食事のメニューに取り入れてみてください。
「忙しくて料理をする時間がない」「できるだけ摂取カロリーを抑えたい」という方は、食品とあわせてサプリやドリンクでフォローするのも一つの方法です。あくまで食事で栄養を摂取するのが基本ですが、サプリやドリンクで補ってみてください。
必須アミノ酸のBCAAはこまめに摂取するのがおすすめ
BCAAは消化されずに直接小腸に吸収されると言われているので、飲みすぎると小腸のアミノ酸濃度が高まり、お腹がゴロゴロする可能性があります。しかし、BCAAは人間の体では合成できない必須アミノ酸なので、食品から摂取しなければいけません。そのため、積極的に食事に取り入れたり、BCAAのパウダーやドリンクを持ち歩いてこまめに摂取したりすると、運動効率アップや筋肉の疲労回復などに役立つでしょう。
本記事の監修者

医学博士・永田孝行
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会理事長
健康運動指導士
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値に着目し、低インシュリンダイエットを提唱。
主な活動として、各健康保険組合・企業・各都道府県での講演活動、雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。
一般社団法人日本ダイエットスペシャリスト協会
公式ホームページ:https://jdsa.co.jp/